家事にとって「時短」は重要な課題です。エアコンの掃除も例外ではなく、各メーカーが工夫を凝らして時短化にまい進しています。「自動お掃除機能」も、そんな工夫のひとつです。
しかし、この機能の評判をチェックしてみると、わりと「要らない」という意見が多いのです。いったい、どういうことなのでしょうか?メーカーは、必要ない機能を付けたのでしょうか?
本稿では「エアコンの自動お掃除機能は必要か」について考察してみようと思います。エアコン掃除のプロの観点から、この機能のメリットとデメリットもご紹介します。
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目次
エアコンの自動お掃除機能は必要か?
さっそく、自動お掃除機能の必要性について考えてみましょう。あなたは「要る派」ですか?それとも「要らない派」ですか?
【結論】絶対不要とは言わないが、なくてもよい
私は個人的に「なくてもいいかな」と考えています。ただし「絶対不要」とも思いません。
自動お掃除機能は、自動でエアフィルターのホコリを除去してくれます。自分でエアフィルターを洗浄する手間がほぼなくなりますので、便利な機能と言えるでしょう。
エアコンはお部屋の高いところに設置されていますから、掃除するのも一苦労ですよね。自動お掃除機能があれば、ご高齢の方や足腰の弱い方は大いに助かるのではないでしょうか?
一方、自動お掃除機能が付いているからといって、すべてのホコリを除去できるわけではありません。自動お掃除機能が付いている機種は、本体価格も高くなります。
ですから「フィルター掃除は、自分でやるよ」という方なら、この機能はなくてもよいでしょう。自動お掃除機能なしの機種なら、購入時の家計の負担を減らせます。
自動お掃除機能の評判や口コミも「いらない」が目立つ
では、自動お掃除機能の世間の評判はどうなのでしょうか?
SNS等を見てみると、じつは案外たくさん「要らない」や「付けて後悔した」という口コミを発見できます。
一例を掲載しておきましょう。
結局、自動お掃除機能って中途半端だし、カビ生えるし、業者に掃除してもらうしかなくなると普通のエアコンクリーニング台に1台「+3000~7000円」くらいかかるし、後悔してます……。
清潔さ目当てで買ったはずなのに……。お掃除機能なしを年1回業者にクリーニングしてもらうのが一番清潔でいいなって思います。
出典:X (旧Twitter)
秋には赤ちゃん産まれるし、エアコンの汚れが気になりすぎて、初めてエアコンクリーニングを頼んでみた。
自動お掃除機能付いているとクリーニング価格がとんでもなく高いので、今さら後悔。機能が付いていても、カビが発生しないわけじゃないしなぁ。
出典:X (旧Twitter)
今日は、朝からエアコンの掃除。エアコンの自動洗浄機能は要らないんじゃ?って思った。
家電メーカーは買い換えして欲しいからか、どんどんイマイチな機能を付け加えていくけど。「この機能がなければ、買いたいんだけど」というのが時々ある。
エアコンの自動お掃除機能はいらない。買って後悔。うるさくて仕方ないし、掃除機能解除できないし。
出典:X (旧Twitter)
エアコンの購入を検討している人へ。自動掃除機能付きの機種は買うな。断言するが無意味だ。
絶対に後悔はさせないので黙ってダイキンのベーシック機種を選べ。もう一度言う。自動掃除機能付きの機種は買うな。
出典:X (旧Twitter)
寝室のエアコンを掃除。自動お掃除機能はついているが、しっかり汚れていました。3時間かかりました。隔年でエアコンクリーニング業者に頼むのもいいかな。
出典:X (旧Twitter)
中には「メンテナンスフリー」になると期待して自動お掃除機能付きの機種を選んだ方もおられるでしょう。そんな方は、本体価格もかなり上がりますから、損した気分になったと思います。
一方、肯定的な意見もあります。ご紹介しましょう。
エアコンについては、まじで自動フィルター掃除機能付いてるやつ買ってよかったと実感した。
出典:X (旧Twitter)
午前中にエアコンの清掃を済ませた。10年戦士と、去年買い換えたエアコンの2台分。毎年やる前は気が重くなるのだが、去年買い換えた自動掃除付きのほうは予想より全然ラクだった。
いや、ほんとにケチって安いほうを買わずに少々高い自動掃除付きを買ってよかった。
出典:X (旧Twitter)
自動お掃除機能なしの機種を買って後悔した方もおられるようです。ご紹介しておきましょう。
エアコンのフィルター掃除をするたびに「なんで、自動お掃除付きを買わなかったんだ」って後悔してる。予算の問題だから仕方ない。
出典:X (旧Twitter)
今日は時間ができたので、家中のフィルター掃除完了。自動お掃除機能付きにすればよかったとちょっと後悔もあるけれど、ホコリをかき集めてスッキリした瞬間が好き。
出典:X (旧Twitter)
結局のところ、自動お掃除機能付きのエアコンを買ってどう感じるかは、人によるのでしょう。評判は参考程度にとどめておき、最終的には自分で判断するしかありません。
自動お掃除機能を付ける?付けない?選び方のポイント
「自動お掃除機能を付ける?付けない?」で迷われた方のために、選び方のポイントを紹介しておきましょう。
自動お掃除機能付きの機種は「できるだけ自分でエアフィルターの掃除をしたくない方」におすすめです。とくに、ご高齢の方や足腰が弱く高所で掃除作業ができない方は、重宝するでしょう。
一方、自動お掃除機能なしの機種は、こんな方におすすめです。
- フィルター掃除を自分でできる方
- 少しでも安く、エアコンを購入したい方
- 専門業者にエアコン掃除を依頼する予定の方
上述の条件に当てはまる方は、自動お掃除機能なしの機種をご検討いただくほうがよいでしょう。理由については、メリット・デメリットのところで詳述します。
そもそも、エアコンの自動お掃除機能とは?
ところで「自動お掃除機能」とは、いったいどんな機能なのでしょうか?
その仕組みや効果、限界点をおさらいしておきましょう。よく似た名前の「内部クリーン機能」との違いもご紹介します。
自動お掃除機能の種類と仕組み
自動お掃除機能は、エアコンの室内機が自動でエアフィルターのホコリを除去してくれる機能です。メーカーによって呼称が異なりますので、一例をご紹介しておきましょう。
- DAIKIN:フィルター自動お掃除
- Panasonic:フィルターお掃除ロボット
- 三菱電機:フィルターおそうじメカ
- 日立:自動クリーン運転・自動フィルター掃除
ホコリの除去方法は、ふたつあります。
ひとつは、お掃除ユニットがフィルター上を移動する方式です。ユニットのブラシが往復移動しながら、フィルターのホコリを回収してくれます。
もうひとつは、フィルターが回転する方式です。設置されているブラシが、ホコリをかき取ってくれます。Panasonicの動画が分かりやすいので、載せておきますね。
自動お掃除機能は、自動で起動するモードと手動で起動させるモードがあります。
- 自動モード:エアコンが適時に自動で起動してくれる
- 手動モード:リモコン操作で好きなときに起動できる
ちなみに上位機種の中には、自動お掃除機能とは別に、熱交換器(アルミフィン)の洗浄機能を搭載しているものもあります。
こちらは、以下のような呼称が付いています。
- DAIKIN:水内部クリーン
- 三菱電機:カビクリーンシャワー
- 日立:凍結洗浄
本稿は、この熱交換器の洗浄機能ではなく、エアフィルターの自動お掃除機能について解説しています。
掃除効果と限界点
自動お掃除機能の効果と、限界点についてご説明しましょう。
自動お掃除機能が付いているエアコンは、エアフィルターを自動でお掃除(ホコリ取り)してくれます。ですから、自分でエアフィルターをお掃除する手間が減ります。
フィルターのコンディションがよいと、エアコンの効率を高い状態で維持できます。よって、自動お掃除機能は電気代の削減に寄与してくれます。
ちなみに、DAIKINの公式サイトにこんな実験結果が載っていました。
今でも多くの家庭で使われている10年以上前のエアコンと、約3年分のホコリが溜まったフィルターを用いて行いました。その結果、「フィルター掃除」をした場合、しなかった場合と比べて約5割(48.9%)のムダな消費電力量を削減できました。
出典:DAIKIN「フィルター掃除と室外機周辺の片付けによるエアコンの節電効果を検証」(太字は筆者)
一方、自動お掃除機能には限界もあります。ホコリを完全に取り除くことはできませんので、メンテナンスフリーになるわけではありません。
じつは、室内を舞うホコリは油分を含んでいます。とりわけ油分を多く含んだホコリは除去しづらく、エアフィルターに残りやすいのです。そういうホコリが、たまっていきます。
また、繁殖してしまったカビも除去できません。エアコン内部で生育してしまったカビは、エアコン室内機の一部を分解して、高圧洗浄しないと落ちないのです。
内部クリーン機能との違い
近年、ほとんどのエアコンに「内部クリーン機能」が搭載されています。この機能と「自動お掃除機能」は、何が違うのでしょうか?
名前だけ見ると「似た機能」と感じてしまいますが、じつは、このふたつは全然違う機能です。内部クリーン機能は、エアコン内部を掃除してくれる機能ではありません。
内部クリーン機能は、送風運転や弱暖房を利用して、エアコン内部に発生する結露を乾燥させる機能です。結露を乾燥させることで、カビの生育を抑制します。
- 冷房や除湿を使うと、エアコン本体が冷える
- エアコン内で結露が発生する
- 乾燥させずに放置すると、カビが繁殖してしまう
冷房時や除湿運転時に発生する結露を乾燥させて、上述の流れを抑制するのが「内部クリーン機能」です。
エアコン内でカビが繁殖すると、エアコンをつけるたびに風とカビが一緒に飛散します。人間やペットが吸い込み続けると、アレルギー等の健康被害につながる恐れがあります。
内部クリーン機能については、以下の記事で詳しく解説しています。ご興味がある方は、あわせてご覧ください。
自動お掃除機能のメリットとデメリット
つづいて、自動お掃除機能を「メリット・デメリット」の観点から考察してみたいと思います。
メリットは自分で掃除する手間が減ること
自動お掃除機能のメリットは、自分でエアフィルターの掃除をする手間が減ることでしょう。また、エアフィルターのコンディションがよい状態で保たれると、電気代やニオイの低減につながります。
エアフィルターにホコリがたまっていると、目詰まりを起こし、空気の通りが悪くなります。そうなると、室内の空気を吸い込む際にいつもより余分なパワーが必要になり、電気代が上がるのです。
目詰まりしたフィルターを放置すると、エアコンに高負荷がかかり続けますので、本体の寿命にも影響するかもしれません。ですから、フィルターは常にきれいな状態にしておくことが大切です。
ホコリのたまったフィルターは、ニオイの原因にもなります。エアコンから吹き出す風のニオイは、フィルターのホコリやエアコン内部のカビ、そしてお部屋のニオイの成分が混ざり合ったものです。
冷房や暖房のシーズン中は、2週間に1度くらいの頻度でフィルターを掃除する必要があります。―― わりと面倒ですよね。やっていない方も、少なくないでしょう。
また、エアフィルターのお掃除は高所作業を含むため、ご高齢の方や足腰の弱い方は危険をともないます。
自動お掃除機能がフィルターのセルフメンテナンス頻度を減らしてくれるなら、忙しいご世帯やご高齢者だけのご世帯は、かなり助かるのではないでしょうか。
デメリットは本体価格とクリーニング価格の上昇
自動お掃除機能のデメリットは、なんといってもコストでしょう。自動お掃除機能が付いていると、エアコンの本体価格が1.5~3万円程度アップします。
参考まで、自動お掃除機能なしのエアコンと、自動お掃除機能付きで安めのエアコンの価格を調べてみました (10帖用、2024年3月30日現在)。
メーカー | 自動お掃除機能/型番 | 目安価格 |
---|---|---|
DAIKIN | なし/S283ATES | 約59,000円 |
あり/S223ATCS | 約74,000円 | |
Panasonic | なし/CS-283DFL | 約52,000円 |
あり/CS-283DGX | 約80,000円 |
さらに、メンテナンスのコストにも差が出ます。自動お掃除機能が付いている機種は、専門業者にクリーニングを依頼する際、機能が付いていない機種より高くなるのです。
弊社が営業活動をおこなっている「神奈川県」の相場をご紹介しましょう。
- お掃除機能なし:8,000~14,000円/1台
- お掃除機能あり:15,000~20,000円/1台
自動お掃除機能や内部クリーン機能が付いているエアコンでも、長期間使うとホコリがたまったりカビが生えたりします。そうなると、エアコンから吹き出す風に乗ってニオイやカビが飛散します。
それが気にならない方にとっては不要なコストですが、気になる方はこのメンテナンス費用も考えておく必要があります。
自動お掃除機能付きのエアコンを選ぶ場合の注意点
最後に、自動お掃除機能付きのエアコンを選ぶ場合の注意点をご紹介します。
定期的にエアコン内部をクリーニングしよう
繰り返しになりますが、自動お掃除機能が付いていても、完全にホコリを除去できるわけではありません。油分を多く含んだホコリや、生えてしまったカビは取り除けないのです。
たまったホコリやカビを落としたい方は、専門業者にクリーニングをご依頼ください。エアコンを分解して、専門の洗剤や高圧洗浄機を使い、奥のほうまでピカピカにしてくれます。
なお、市販されているエアコンの洗浄スプレーは、おすすめしません。故障や事故の原因になる恐れがありますので、エアコンメーカー各社が使用を禁止しています。
詳しくは、こちらをご覧ください。
衛生と年間コストを比較してみよう
先述のとおり、自動お掃除機能付きのエアコンはさまざまなコストがかかります。もしも、あなたがコスパを重視されるなら、しっかり総コストを試算しておかれるとよいでしょう。
たとえば10年使い、4・8年目に専門業者のクリーニングを実施するとして概算すると、自動お掃除機能ありのエアコン(10畳用)は以下のコストがかかります。
- 本体:8万円
- クリーニング:20,000円×2回=40,000円
- 合計:120,000円
同じく10年使い、2・4・6・8年目に専門業者のクリーニングを実施するとして概算すると、自動お掃除機能なしのエアコン(10畳用)は以下のコストがかかります。
- 本体:6万円
- クリーニング:13,000円×4回=52,000円
- 合計:112,000円
この概算によると、自動お掃除機能なしの機種のほうは、2回多くプロのクリーニングを頼んでも8,000円安くなります。
さらに、衛生的な観点から考えると「いつもエアコン内のカビが少なく、気持ちのよい風が出てくる」というメリットも得られます。
あとは電気代ですが、小まめに自分でフィルター清掃ができる方なら、自動お掃除機能なしの機種を選ばれてもほとんどアップしないのではないでしょうか。
結局、自動お掃除機能付きを選ぶ場合は、掃除の手間を減らせることに大きなメリットを感じられるか ―― が重要な着眼点になるように思います。
まとめ:エアコンの自動お掃除機能は、必要か見極めてから付けよう
エアコンの自動お掃除機能は、便利な機能です。フィルター掃除の手間を減らしたい方、とりわけご高齢者や足腰の弱い方には頼もしい機能でしょう。
一方、コスパを重視したい方や自分でフィルター掃除をするのが苦にならない方は、自動お掃除機能なしの機種を選ぶほうがよいかもしれません。ご自分の状況に合わせて、見極めてください。
なお、自動お掃除機能が付いていても、カビやホコリの付着をゼロにすることはできません。エアコン内部のカビやホコリが気になった場合は、専門業者にクリーニングをご依頼ください。
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この記事の監修者
株式会社my connect(ハウスエイト)
代表取締役
会社概要 »
経歴:平成26年にハウスエイトを設立し横浜市や藤沢市を中心に神奈川県エリアで、エアコンクリーニングやキッチン・お風呂などのお掃除をするハウスクリーニング業に従事。
経験を活かし、プロの目線で、汚れのことやお掃除に関するお悩みの解決方法をブログで紹介しております。
神奈川 藤沢 横浜のハウスクリーニング、エアコンクリーニング、キッチン、レンジフード(換気扇)、トイレ、お風呂、定期清掃など家のお掃除のことなら断然お得!安いだけじゃないハウスエイトまでお気軽にご相談ください☆
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